トレードオフ(ケビン・メイニー著)の感想

今回は、
ケビン・メイニー著(ジム・コリンズ序文、有賀裕子訳)の「トレードオフ」を読んだ感想です。

これは、もう最初から言ってしまうと、読んで損なし!
いやー、面白いですよ。
過去の事例などを挙げながら、トレードオフという観点で物事にアプローチしています。
誰もが1度は耳にしたことのある企業や商品、サービスが出てくるので飽きることなく読み進められます!

初版は2010年。
本のサブタイトルにあるように、上質をとるか、手軽をとるかといったトレードオフの観点で様々な商品や事象にアプローチしていきます。
読むきっかけは、アサヒビール 社長・小路明善氏が愛読する本という情報をネットで見て、興味を持って手に取りました。

本の構成は、
序文
第Ⅰ部 上質と手軽の天秤
第Ⅱ部 勝者と敗者
第Ⅲ部 二者択一の決断

と、大きくは3部構成になっていて、その中で細かく章立てされています。

手軽さと上質。
トレードオフにあるこの関係ですが、例えば、ネットショッピング。
Amazonや楽天などは、自宅に居ながら買い物ができ、そのうえ品揃えも良い。
この手軽さに対して、実店舗では、実際にお店に足を運び、商品を選別して、もし在庫切れなら注文して待たなければなりません。
ただ、お店に行き、知った顔の店員さんに「いつもありがとうございます。」と声を掛けて頂き、オススメや新作の商品を説明してもらったり、特別な割引やサービスを受けられたり、といったように、そこでしか味わえない経験という上質さがあります。

また本の中で説明されているのですが、
「手軽さに対してお金を払う」という表現は語弊である、と。
例えば、移動。
(著書の中では、マンハッタンを例にしてますが、分かりやすく日本を例えにします)
東京駅から新宿駅へ会議のために移動する必要がある時、タクシーや電車で移動することは、手軽に目的地に到着できるため、まるで手軽さにお金を払っているように思えますが、実はこれは間違い。
実際には、タクシーは今いる場所のすぐ近くから、運転手付きの車に乗車し、座ったまま目的地の建物の入り口まで移動できます。
これは、手軽さではなく、時間を短縮し、歩く時間も少なく疲労もない、上質で贅沢な選択肢です。
それに対して、最も手軽なのは、歩いて行くこと。
お金もかからないですし、タクシーを待つ時間もないし、電車であれば駅まで移動する必要もない。
ただ脚を動かすだけ、とてもシンプルで手軽な選択肢なのです。
そのため、「手軽さに対してお金を払う」という場合、上質さを買っていることが多いというわけです。

いやー、序盤にこんな感じで、トレードオフについての具体的な例を挙げながらスタートするのですが、この後は、過去の興味深い事例をトレードオフという観点で説明していきます。

いくつか例を挙げると、
・プロローグ(3D映画について)
・ベゾスも気づいていないキンドルの死角
・愛されるか、必要とされるか
・「幻影(ミラージュ)」を追い求めて失墜したCOACH
・銀行幹部が理解できなかったATMの価値
・スターバックス、二十年目の迷走
・お掃除ロボット「ルンバ」はなぜ大ヒットしたか
・ゲイツも飛びついたテクノロジー史に残る大失敗事業
・ジョブスとベゾスが絶賛したセグウェイの不発
・アップルが思い出したくない悪夢

などなど。
これでも一部ですが、各章の項目として非常に魅力的な内容が凝縮されています。
是非、内容は読んで確かめてみて下さい。

さて、私の感想ですが、冒頭でも記載しましたが、読んで損なし!
すらすらとあっという間に読み終えてしまうと思います。
オススメです!
これを書いていて、また読みたくなってきたくらいですw
もちろん、2010年に出版されたものなので、少し古い内容の部分もありますが、
トレードオフの観点を身につけると、私達の身の回りにある色々なサービスに対する考え方が広がりますよ。

以上、「トレードオフ」の感想でした。

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